下半身や全身が冷える原因と解消法

皆さんこんにちは!トレーナーの山内です!

今まで冷え性について説明してきましたが、今回が最終回になります。

(1回目:末端冷え性の原因と解消法 2回目:お腹や二の腕が冷える原因と解消法

引用)https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1143.html

今回は冷え性の4タイプの中でも、下半身型と全身型の冷え性について説明していきます。

下半身型冷え性の特徴と原因

特に腰から下が冷える方は下半身型になりますが、他にも以下の特徴があります。

下半身の中でもお尻や足先が冷える方が多い印象ですが、なぜ下半身のみが冷えるのでしょうか?

原因は筋肉の硬さにあると考えています。

お尻やふくらはぎの奥には太い血管があります。

お尻の血管と筋肉↓

ふくらはぎの血管と筋肉↓

筋肉が血管を圧迫することで血流が悪くなり、冷えやすい状態になっていると考えられます。

では、なぜお尻やふくらはぎの筋肉が硬くなってしまうのでしょうか。原因は2つあります。

1つ目はデスクワーク(座りすぎ)です。

常にお尻が椅子に当たった状態になると血管が圧迫されやすく、血流が悪くなることで筋肉が硬くなります。

1日中座っていることが多いという方は、なるべくこまめに立つようにするだけでも変わってきますよ。

また、座り方にポイントがあります。

このように顔を画面に近づけて体を丸めた状態で座ると、椅子の座面がお尻の筋肉や血管に当たりやすくなるため下のように座れると良いですね!

自分はクッションや筒状に丸めたバスタオルを背中と背もたれの間に入れてパソコン作業をしています。

他にも座り方にいくつかポイントがありますので、気になる方は来店時に聞いて下さい。

2つ目は姿勢の崩れです。

膝を伸ばしきって立っている方は常にふくらはぎの筋肉が縮まった状態なので、筋肉が硬くなりやすいです。

膝をピンと伸ばして立つくせがある人は、なるべく膝を緩めて立つようにしましょう。

また、ヒールの高い靴を履くことが多い人も同様にふくらはぎの筋肉が縮まった状態になります。

仕事上どうしても履く必要がある人は、こまめにふくらはぎのストレッチをすると良いですよ!

ふくらはぎのストレッチ方法はこの後お伝えしますね。

下半身型の冷え性の解消法

お尻やふくらはぎの簡単なストレッチをお伝えする前に、自分のお尻やふくらはぎが硬いのかどうかをチェックしてみましょう。

【簡単なチェック方法】

前屈をした時に、床に指先がつかない方はお尻やふくらはぎの筋肉が硬い可能性があります。

【お尻が硬いかどうかを詳しくチェックする方法

方法:仰向けに寝た状態で片方の足を曲げ、膝から先を内側と外側に動かす

判定:左右45°動かすことができればOK

お尻を柔らかくするストレッチ方法はこちら

【ふくらはぎが硬いかどうかを詳しくチェックする方法】

方法:床に座った状態で足首を90°になるまで曲げ、その状態からさらに曲げる

判定:足首が直角の状態から15°曲がればOK

ふくらはぎを柔らかくするストレッチ方法はこちら

全身型冷え性の特徴と原因

次に全身型の冷え性について説明していきますが、以下が特徴になります。

全身型冷え性の方はお客様の中でも数は少ないですがいらっしゃいます。

なぜ全身が冷えるのかですが、おそらく体の熱を生む働きが弱まっていると考えられます。

人間は食べたものを消化して栄養素を取り込み、身体を動かすためのエネルギーに変えています(これを代謝と言います)。

エネルギーを使う際に熱が生まれますが、体を動かした時だけでなく、食べ物を食べたり生命を維持するためにエネルギーが使われます。

全身が冷えるという方は、「動いている時や食後は暖かいけれどじっとしている時に手足が冷える」という方が多いと思いますので、3番の基礎代謝に問題があって熱を作れていない可能性があります。

基礎代謝に問題はない?

基礎代謝とは、人が生きていくために必要なエネルギーになりますが(体温を維持する、呼吸をする、心臓を動かすなど)、主に筋肉や肝臓が関わっています。

筋肉が少なかったり肝臓の働きが悪いとエネルギーが上手く使われずに熱が生まれにくくなるということです。

ウェルボでは皆さんに体組成(体重や筋肉量、体脂肪率など)を測定して頂いていますが、筋肉量が少ない方が非常に多いです。

筋肉量が少ない方には以下の特徴があります。

・あまりタンパク質を摂らない(お肉やお魚、卵、乳製品、大豆製品など)

・過去に極端な食事制限をしたことがある(断食や糖質制限)

・病気による入院や出産などで長期間動けなかった経験がある

・普段あまり動かない(仕事はデスクワーク、お休みの日は家でゴロゴロ)

人間はタンパク質を摂らなかったり、あまり動かなかったりすると筋肉はどんどん減ってしまいます。

筋肉が少なくて増やしたいと思っている方は早めに取りかかって欲しいんですよね。

それはなぜかというと、筋肉ってほんと増えないんです(脂肪はすぐに増えるんですけどね泣)。

お客様から、「筋トレ始めたらすぐに増えると思ってました!」って言われることが多いのですが、

そう言いたくなるぐらい筋肉って増えません。

最低でも週2〜3回の筋トレと、1日体重×1.5のタンパク質(体重60kgの人は1日90g)を摂ってやっと増えるかどうかって感じです。

週に2〜3回筋トレするってなかなか現実的ではないと思いますので(しかも疲れるまでの回数)、

ウェルボに来られている方には、「週に1回の筋トレと1日5千歩以上の活動量を目指しましょう」とお伝えしています。

順調にいって1ヶ月で200〜500gの筋肉量が増えていく方が多いですね。

ただ筋トレ+活動量確保だけではダメで、タンパク質を摂ってはじめて筋肉は増えていきます。

タンパク質の必要摂取量を1日体重×1.5gと書きましたが、体重別の理想値はこちらです。

体重(kg)1日のタンパク質必要量(g)
4567
5075
5582
6090
6597

実際の食事例になりますが、以下のお食事で72gのタンパク質が摂れています。

・朝食 → ご飯1膳(150g)、目玉焼き、ウインナー3本、わかめと豆腐の味噌汁

・昼食 → お弁当(ご飯120g、唐揚げ1個、卵焼き1切れ、きんぴらごぼう)、野菜スープ

・夕食 → ご飯1膳(150g)、豚の生姜焼き、キャベツの千切り、ミニトマト3個

皆さんはタンパク質摂れていそうですか?

摂れてなさそうな方は、どんな食材にタンパク質が多いのかをこちらにまとめていますので、普段のお食事の参考にされてください。

※今回肝臓については説明しませんので、詳しく知りたい方は直接聞いてください。

エネルギーを上手く作れているか

皆さんミトコンドリアって聞いたことありますか?

理科の授業で出てきた記憶がありますが、先ほど人間は吸収した栄養素をミトコンドリアに取り込んでエネルギーを作るとお伝えしましたね。

ミトコンドリアが少なかったり、上手く働いていないと熱があまり作れないということになりますが、食べ過ぎ・運動不足・喫煙・ストレス等で数が減ったり働きが落ちるとされています。

・食べ過ぎ → 満腹になるとAMPKという酵素の働きが抑えられる。ミトコンドリアは、PGC1aというタンパク質が活性化されることで作られるが、AMPKが働かないとPGC1aの働きも抑えられるのでミトコンドリアが作られなくなる。

・運動不足 → 運動不足になると生産したエネルギーが余るため、体はミトコンドリア(エネルギーの生産工場)が必要ないと感じ数を減らしてしまう。

・喫煙 → たばこの煙に含まれるシアン化水素はミトコンドリアの活動を止めてしまう。

トレーニングを始めてから体が冷えなくなってきました!と言われたことがあったのですが、

おそらくその方の原因は運動不足だったのかな〜と思っています。

また、ミトコンドリアがエネルギーを作る際には鉄分、マグネシウム、ビタミンB群などの栄養素が必要になりますので、栄養不足でも冷え性になる可能性があります。

以下の症状が見られる方は栄養素が足りていないかもしれませんので、積極的に栄養のあるものを摂っていきましょう。

どんな食べ物に鉄やマグネシウムなどの栄養素が多いかはまた別の機会に説明しますね(気になる方は直接聞いてください)。

甲状腺の問題

人間には甲状腺という体温を上げる働きをする臓器がのど仏のすぐ下にありますが、甲状腺の働きが悪いと体温が上がらない可能性があります(基礎体温が36.4℃以下の方は怪しいです)。

血液検査の結果から甲状腺の働きを確認することができます。以下の数値が低めな方は要注意です。

TSH → 0.2〜4.5

FT3 → 2.2〜4.3

FT4 → 0.8〜1.6

引用)https://www.ito-hospital.jp/05_guide/02_2popup.html

なぜ甲状腺の機能が落ちてしまうかですが、原因の一つに糖質制限が考えられます。

体にとって必要なエネルギー源である糖質を摂らないと、体はなるべくエネルギーを使わないように省エネモードになります。

甲状腺はエネルギーを使って体温を上げる場所ですので、体は甲状腺の機能を下げてしまいます。

すると体温も下がってしまいます。 

また、糖質を摂らないでいると低血糖状態になりやすいため、血糖値を上げるためにアドレナリンというホルモンが出ますが、アドレナリンの材料であるチロシンは甲状腺ホルモンのチロキシンを作る材料でもあります。

そのため、糖質制限をすると甲状腺の機能が落ちて冷え性になる可能性があります。

甲状腺は糖質制限だけでなく、甲状腺機能低下症という病気が原因で甲状腺の機能が落ちてしまいます。

以下の症状がみられる方は、一度病院への受診をオススメしております。

・疲れやすく眠たい

・のどに違和感がある、のどの腫れている

・むくみがひどい

・食欲は落ちているが体重は増えている

最後に&まとめ

冷え性の原因について調べた論文があるのですが(詳細はこちら)、

冷え性がある方とない方に同じ質問をして、ある方の共通項を調べたものになりますが、冷え性の方は以下の項目が一致していました。

・BMIが低い(痩せ型

・野菜をたくさん摂っている

・麺類が多い

・甘いものが多い

・ストレスが多い

この共通項って、今回説明した全身型冷え性の特徴と繋がってきますよね!

BMIが低い→筋肉量が少ない可能性あり

野菜をたくさん摂っている・麺類が多い→タンパク質がしっかり摂れておらず筋肉量が少ない

甘いものが多い→低血糖になりやすく甲状腺から出るホルモンの材料が少なくなっている

ストレスが多い→ミトコンドリアが少ない

結構当てはまるぞ!という方は、少しずつ解決できそうなことから取り組んでみてください。

今回説明が少し長くなってしまいましたが、以下がまとめになります。